睦月の八寸 第1回

「正月」

今回から始まる「ささ木の八寸」。
「八寸はそれぞれ目的というかいかに季節を感じていただくか、それが本当に重要なんです。
今月はおめでたいお正月です」と佐々木浩は話し「やはり松竹梅です」と付け加えたのであった。

まず「八寸」の意味合いから。
八寸角の杉のへぎ生地の角盆のこと。これが転じて、ここに盛られる
酒肴のことを指すようになり、いまでは献立の名称となった。

正しくは、八寸四方の杉盆を使い、右向こうに海の幸、左手前に山の幸を盛り込むのが定めである。

しかし、時代の流れや料理に対する捉え方が変わる中で「八寸」も
少しずつ形を変えてゆかざるをえないこととなる。
器も自在となり、また食材の使い方も自由になってきた。

「八寸」は料理が五感に訴えるものだが、中でも視覚を特に重要視する。
佐々木が言う「季節感と色合い」である。

お正月は、一年の始まりを告げる慶事。
それぞれの料理というか食材に意味をもたせるのだ。

2016年は申年。
申の器には紅白なます。
お多福豆は、福を呼び。
昆布巻きは、よろこぶ、に通じる。
姫くわいは、目が出る、という。
人参と長芋も加わる。

また
伊達巻
からすみ
栗きんとん
黒豆
子持ち昆布
求肥まき
紅白のちょろぎ
というように、お正月を飾るにふさわしい目出度ものが揃うのである。

八寸は、料理人によって、料理のどの場面で供するかが変わる。
前菜としてとらえることもあれば、締めに向かう途中で、
再び酒を飲む機会として考えるタイプもいるのだ。
「僕は、やはり季節感をしっかり感じていただきたいので、最初に出すほうです」と佐々木は話す。

このように、八寸は器、食材の使い方、盛り付けなど、料理の個性が如実に現れる。
この一年、佐々木浩の新たな個性をお楽しみいただきます。